さく井工事の種類と特徴について

さく井工事(さくせい)とは、地下水を汲み上げるために井戸を掘削する工事のことを指し、ボーリング工事と呼ばれることもあります。

ここでは、代表的なさく井工事の種類とそれぞれの特徴についてご紹介します。

 

◇水源井

地下約70mより深い水脈から地下水を汲み上げるための深井戸で、一般的に深さ約180m・口径35cmの井戸に水中ポンプを設置して取水します。

汲み上げた水は埋設管を通じて浄水場へ送られます。

 

◇観測井

観測井は、地盤沈下や地下水位の変動を観測するために設置される井戸です。

地下に鉄管を埋設し、地層の変化や水位をフロートなどで測定します。

地層の状態を把握できるため、防災や環境管理に重要で、用途に応じて火山観測井や地盤沈下観測井とも呼ばれます。

 

◇温泉井

温泉井は、高温の温泉水を汲み上げるための井戸で、深さは一般的に約500〜1000mと深く、温泉法に基づく許可が必要です。

高温によるトラブルや天然ガスの噴出リスクがあるため、水井戸よりも保守管理が重要で、採取・利用にも複数の許可が必要です。

 

◇地熱井

地熱井は、地熱発電のために約2000mの深さまで掘削される井戸で、多くは国立公園内に設置されます。

温泉法による許可が必要で、熱水や蒸気の漏洩防止のため厳重な管理が求められます。

掘削には高温下での深掘りや傾斜掘削など高度な技術が必要で、近年では対応できる技術者は限られています。