
建築物や土木構造物が長期間にわたって安全に自立し続けるためには、上部構造物の重さを確実に地盤へ伝える「基礎」の存在が不可欠です。
地盤調査の結果、地表面近くの地層が軟弱で、構造物を直接支持できないと判断された場合に採用されるのが「杭基礎」です。
杭基礎は、地中深くにある強固な地層(支持層)まで杭を打ち込み、杭の先端による「先端支持力」と、杭の側面と土の間に生じる「周面摩擦力」によって構造物を支えます。
◇杭基礎工事の主な種類と環境に合わせた選定ポイント
杭基礎工事は、「既製杭工法」と「場所打ち杭工法」の2種類に分類されます。
既製杭工法は、工場で製造された高品質なコンクリート杭や鋼管杭を現場に運び込み、回転埋設や穴を掘ってから建込む方法です。
一方、場所打ち杭工法は、現場で地盤を掘削し、そこに鉄筋を建て込んでコンクリートを流し込む手法で、非常に大きな支持力を得られるため高層ビルなどに多用されます。
選定の際のポイントは、以下の3つの視点が重要です。
-
地質条件: 支持層までの深さや、地下水の有無、硬い中間層があるかどうかを確認します。
-
構造物の規模: 建物が受ける荷重(重さ)に対して、どの程度の太さや本数の杭が必要かを算出します。
-
周辺環境: 都市部では騒音や振動の抑制が厳しく制限されるため、低騒音・低振動の「プレボーリング工法」や「回転貫入工法」が優先されます。
地盤は目に見えない部分だからこそ、事前の土質試験に基づき、コスト・工期・安全性のバランスを踏まえた最適な工法選定が、盤石な基盤づくりの鍵となります。