
バリアフリー住宅の計画では、住まいの至る所に手すりや段差解消をやみくもに取り入れれば良いわけではありません。
限られた予算の中で、家族の状況に合わせた正しい優先順位を把握することが後悔しない家づくりの鍵です。
◇動線上の安全性を最優先にする
バリアフリー化において最優先すべきなのは、日常的に何度も往復する基本動線の安全確保です。
具体的には、寝室からトイレ、そして浴室や洗面所といった水回りをつなぐルートの段差をなくし、滑りにくい床材を選定することが挙げられます。
特に、夜間のトイレ移動は転倒リスクが高まるため、足元灯の設置や、将来的に車椅子でもスムーズに方向転換ができるような十分な通路幅の確保が効果的です。
毎日の行動パターンに沿って、つまずきやすい要因を一つずつ客観的に取り除いていくことが、転倒事故などの家庭内事故のリスクを抑える確実な基盤となります。
◇将来の変化に柔軟に対応できる可変性を残した設計
次に重要となるのが、「今すぐ必要な対策」と「将来に備える対策」の切り分けです。
新築やリフォームの段階ですべての場所に手すりを設置してしまうと、かえって普段の生活の邪魔になったり、家具の配置が制限されたりすることがあります。
そのため、現時点では手すりが必要ない場所であっても、将来必要になった際に壁を壊さず最小限の工事で後付けできるよう、あらかじめ壁の内部に下地(補強材)を入れておく設計が推奨されます。
また、開き戸を将来的に引き戸へ変更しやすい設計にすると、長く快適に暮らせるバリアフリー住宅を維持するための賢い選択です。