「原状回復」「現状回復」、どちらが正しい?

賃貸物件から借主が退去する際に行われる原状回復工事。現状回復、と書かれることもあるのですが、どちらが正しい言葉なのでしょうか?

 

原状回復の「原状」とは、元の状態、つまり借りたばかりの頃の状態を指します。一方、現状回復の「現状」とは現在の状態を指すことになり、意味合いが異なってしまいます。このことから、借りたときの状態に戻すという意味になる「原状回復」が正しい言葉となります。

 

ところで、この「原状」という言葉の由来はご存じですか?

これは一つの説ですが、原状回復工事はもともと賃貸物件や部屋に対して行われるものではなく、工場を建てる際に借りた土地に対して行われるものを指していたという話があります。移転などで退去する際に、工場を解体して更地にする、つまり、元の「原っぱ」に戻すという意味を込めて、当時の法律家が「原状回復」という言葉にしたと言われているのだそうです。

 

現在では部屋を原っぱに戻すことはありませんが、それでも元に戻すという意味では「原状回復」が正しい言葉です。間違ってしまっても意味は通じるかもしれませんが、無用な混乱は招きたくないですね。お客様に提示する書類や業務内容の表記では間違えずに書けるよう覚えておきましょう。