鳶職の作業着といえば、真っ先に思い浮かぶのがニッカポッカです。足首に向けて幅が広くゆったりとしたシルエットのニッカポッカは、特殊な形がもつ利点から多くの鳶職人が愛用して来ました。
ニッカポッカは英語で「Knickerbockers(ニッカーボッカーズ)」と言い、オランダからアメリカに移民した人々が着用していたズボンが名前の由来とされています。それが日本に渡ってきたときに略したりなまったりしてニッカポッカと呼ばれるようになりました。
ニッカポッカは耐久性が高く、かつては軍服にも使われていました。登山用としても流行していた時期もあるそうです。その後、鳶職人をはじめとする作業員のズボンとして普及しました。
ニッカポッカは足回りに余裕のある形をしており、足を動かすときに邪魔になりにくいという理由から職人に好まれています。さまざまな建材が置かれている現場で万が一足に何かが当たったときも、衝撃を和らげる働きがあります。ニッカポッカに当たる風で強さを測ったり、高所でバランスを取るのにバランサーとしての働きを持たせていたりというベテラン職人もいるそうです。また鳶職人は足袋を履いて仕事をする方が多いのですが、ズボンの裾を足袋に入れるスタイルとニッカポッカは相性がよく、それもあって普及したとも言われています。