建物の壁や床をコテで塗り上げていく左官職人の仕事が左官工事です。日本古来の伝統的な技能であり、現代建築でも現場に欠かせない仕事のひとつです。鮮やかな手さばきであっという間に平らに仕上げてしまうため、簡単そうだ、楽しそうだと眺めている方もいるかもしれません。ですが実際にやってみると非常に難易度が高く、スムーズに美しく仕上げるには長年の経験と培った技術が求められる仕事です。
左官職人の仕事は多岐にわたります。土やモルタルなどを使い壁や床の下地を作る仕事、コンクリートの土間打ち作業、階段の仕上げ塗りなど、コテを使ってできるさまざまな仕事をしています。下地だと建物が仕上がったときに隠れてしまう部分が多いのですが、近年では珪藻土や漆喰などの自然素材を使った環境に優しい家づくりの注目度が上がり、左官工事による「仕上げ」の需要が高まっています。
左官工事で出来ることは、滑らかで均一な面を作ることだけではありません。コテを使い分け模様を浮かび上がらせることで、意匠性の高い壁面を作り上げることもできます。洋風建築に日本の技術を取り入れた「和モダン」とも言われ、こちらも若い世代を中心に人気が高まっている施工です。