防煙区画が必要な主な理由は、火災時の安全性を高め、人命を守るためです。
火災による死亡の多くは、煙による窒息が原因となっています。
防煙区画は、火災時に発生する煙の拡散を抑制し、一定の区域内に閉じ込める役割があります。
◇防煙区画の必要性
煙の拡散を遅らせることは、火災時に重要な役割を果たします。
なぜなら、避難時間を確保し、建物内の人々が安全に避難できるからです。
また、煙の広がりを制限することで避難経路を明確に保ち、パニックを防ぐことができ、消防活動を支援し、効果的な消火・救助活動を促進します。
煙の拡散を防ぐことで被害を局所化し、空調効率を向上させる効果もあります。
◇防煙区画が義務付けられている場所
建築基準法施行令第126条の3では、特定の建築物において防煙区画の設置を義務付けています。
排煙設備が必要な建物は、床面積500m²以内ごとに区画を設け、排煙口までの距離を30m以下にする必要があります。
防煙区画が義務となる主な建物は、特殊建築物で延べ面積が500m²を超えるものや、3階以上で延べ面積が500m²を超えるもの、また延べ面積1,000m²を超える建物で面積200m²を超える居室がある場合です。
また、防煙区画が求められるのは準耐火建築物および耐火建築物のみで、その他の建築物には防煙区画ではなく、防煙壁を設けることが義務付けられています。