アンティーク家具も人気の「エリザベス様式」とは

エリザベス様式とは、イギリスのエリザベス1世の時代に用いられていた建築様式です。16世紀後期のもので、伝統的なゴシック様式を受け継ぎつつもイタリアのルネサンス様式の影響を受けたデザインが特徴です。直線的で実用性重視の傾向が強く重厚なスタイルですが、柱や梁などの細部にはルネサンス的な優雅な装飾が施されています。

 

エリザベス様式の家具は、アンティーク愛好家の中でも人気の高いもののひとつです。堅く重厚感があり耐久性に優れたオーク材が使用されていたため、チューダー、エリザベス、ジャコビアン様式の家具が作られていた時代を「オークの時代」と呼ぶこともあります。

エリザベス女王の時代は国民の生活が安定したことから多くの人々が家を構えるようになり、家具職人の技術もどんどん発展していきました。それまで主流だったスツールやベンチに代わって背もたれの付いたダイニングチェアが使われるようになり、現在に繋がる家庭用家具が確立した時代ともいわれています。

 

エリザベス様式の家具で最も特徴的なのは、「バルボスレッグ」といわれる装飾です。球根(bulbous)のような大ぶりの細工で、テーブルの脚やベッドの支柱、食器棚の円柱などさまざまな場所にこのバルボスレッグが施されています。