「スクラップアンドビルド」から日本の建築業界を見る

社会的にSDGs(エスディージーズ)など持続可能な開発が重要視されている中で、建築業界でも「スクラップアンドビルド」が見直されるようになりました。。

 

◇「スクラップアンドビルド」とは?

「スクラップアンドビルド」とは、古いものを全て取り除いてから新しいものを作り上げる手法を指し、主に建築や都市計画の分野で使用されます。

日本の建設業界では、このスクラップアンドビルドが一般的で、古い建物をすぐに取り壊して新しい建物を建てることが慣習となっています。

このため、日本の建物の平均寿命は欧米と比べて非常に短く、国土交通省の資料によれば、米国では建物の平均寿命が55年、英国では75年に対し、日本ではわずか30年です。

 

◇日本がスクラップアンドビルドを取り入れた背景

江戸時代に、江戸は人口の急増に伴い木造の家が密集し、3年に一度の大火災があり、なかでも1657年の「明暦の大火」では市街地の大半が焼失し、江戸城も消失しました。

さらに、1855年の「安政江戸大地震」などの地震も頻発しました。こうした災害により、江戸時代の建物は何度も壊れ、再建されるサイクルが繰り返され、スクラップアンドビルドが定着しました。

しかし、近年官民ともに、「いいものを作って、きちんと手入れをして長く大切に使う」ストック活用型の社会へと転換を図っています。