畳は日本の伝統的な床材で、断熱性や防音性に優れているだけでなく、湿度を調整し快適な空間を作り出す効果もあります。
◇古くは縄文時代から
畳は日本固有の敷物であり、その歴史は縄文時代に遡り、稲わらを敷いたことが起源とされています。
中国から伝来したものが多い中で、畳は日本独自に発展しました。
最も古い畳は奈良時代のもので、「御床畳」と呼ばれる木製の台に置かれた畳が、奈良の東大寺正倉院に保管されています。
この畳は現在のものと少し異なり、真薦を編んだござ状のものを5~6枚重ねて畳床とし、イグサの菰で覆い、錦の縁が付けられています。
◇畳の移り変わり
現代の畳の構造が確立されたのは奈良時代から平安時代にかけてです。
当初、畳は身分の高い人や客人をもてなすための道具として使われていましたが、鎌倉時代から室町時代にかけて書院造が生まれ、部屋全体に畳を敷き詰めるスタイルが普及しました。
これにより、畳は建物の床材として広く利用されるようになり、当時は貴族や武士の富の象徴とされました。
桃山時代から江戸時代にかけて、数奇屋造や茶道が発展し、徐々に町人の家にも畳が普及します。
しかし、江戸時代中期までは身分による畳の使用制限が続いており、一般庶民が畳を使用できるようになったのはこの時期以降です。
その頃から畳師や畳屋が活躍し、畳干しをする家々の光景が日常的に見られるようになりました。