火災発生時に最も危険なのは、炎による熱ではなく煙です。
火災による死者の多くは煙を吸い込んだことによる窒息死であり、焼死は少数にとどまります。
煙は広がると冷えて下降する性質があるため、効果的な排煙には煙の拡散を抑えることが重要です。
そのため、火災時に煙を効果的に排出するため、建物には500㎡ごとに「防煙区画」が必要と、建築基準法で定められています。
◇間切壁を使う
防煙区画として間仕切壁を使用する場合、天井から800mmまでが排煙に有効です。
また、その間仕切壁は不燃材で覆われている必要があります。
これにより、煙の拡散を防ぎながら、排煙設備が効果的に機能するよう設計されています。
◇防煙垂壁
防煙垂れ壁は、火災時に煙の拡散を抑え、避難時間を確保するために設置される壁状の設備です。
これにより、避難経路を明確にし、安全な避難が可能になります。
また、防煙垂れ壁は火災区画を形成して延焼を防ぎ、さらに空調空間を分けることで、空調効率の向上にも寄与します。
◇防煙壁+不燃扉
防煙垂れ壁(最低300mm)と不燃材の扉(常時閉鎖式または煙感知連動式)の組み合わせでは、天井から800mmまでが排煙に有効です。
この組み合わせは、垂れ壁の寸法が500mm確保できない場合に活用できます。
不燃扉や常時閉鎖式扉の導入は難しい場合もありますが、状況によっては選択肢として考慮できるでしょう。