「透彫欄間」とは、透彫の技術を用いて紋様を透かして作られた欄間です。
紋様を残して地を切り透かす方法は「地透かし」、紋様を切り抜いて地を残す方法は「紋様透かし」と呼ばれます。
透彫欄間は、背面が見えることで空間の圧迫感が軽減され、光が入りやすくなるため、広々とした印象を与えるのが特徴です。
今回は、代表的な透彫欄間をご紹介します。
◇大阪欄間
大阪欄間の透彫欄間が登場したのは17世紀初期で、大阪府内の聖神社や四天王寺などにその伝統技法が見られます。
杉や桐などの薄い木材を使用し、さまざまな図柄や形を透かし彫りした技法で作られ、切り抜き欄間とも呼ばれます。
江戸時代中期には、商家を中心に一般住宅の茶の間や客間の鴨居の上に取り付けられ、光を取り入れたり風通しを良くする実用性と、室内装飾としての品格を表す役割を果たしました。
◇西本願寺「書院」
書院は対面所と白書院から構成されており、もともと別々の建物だったものが移築されて一つになりました。
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対面所: 公の応接施設で、200畳を超える大広間。貴人用の上段や上々段、違い棚を設けた書院造りで、紺碧の障壁画や透彫欄間で豪華に装飾されているのが特徴。
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白書院: 同様の書院造りで、障壁画や欄間に贅を尽くした三つの部屋から成ります。
対面所と白書院は特別拝観時以外は非公開です。本願寺にはこれらの書院のほかに、国宝に指定されている黒書院と伝廊も存在します。