「ユニバーサルデザイン」誕生の歴史

私たちが日常生活で何気なく使っている施設や製品の中には、年齢や障がいの有無にかかわらず、すべての人にとって使いやすく設計されたデザインがあります。

 

◇ユニバーサルデザインとは?

ユニバーサルデザインとは、年齢、性別、国籍、障がいの有無などに関係なく、すべての人が平等に、安全かつ快適に利用できるように設計されたデザインの考え方です。

具体的には、段差のないスロープ付きの入口、誰でも読みやすいピクトグラム(図記号)、押しやすい自動ドアのボタン、音声と視覚の両方で案内するエレベーターなどがユニバーサルデザインの例です。

 

◇ユニバーサルデザインの始まり

ユニバーサルデザインの誕生の歴史は、1960年代の北欧デンマークで提唱された「ノーマライゼーション」という考え方に端を発します。

ノーマライゼーションは、障がいのある人もない人も共に普通に暮らせる社会を目指す理念で、バンク・ミケルセンが1950年代から1960年代にかけて提唱しました。

その後、この理念はヨーロッパからアメリカに広がり、アメリカでは戦争で障がい者が増えたことを背景に「バリアフリー」の考え方が普及しました。

 

1980年代、アメリカの建築家ロナルド・メイスが「ユニバーサルデザイン」という概念を提唱しました。

彼自身が障がい者であり、従来のバリアフリーが障がい者を特別扱いすることに問題を感じ、「最初から誰にとっても使いやすいデザイン」を目指したのがユニバーサルデザインの特徴です。

1985年に論文として発表され、バリアフリーの問題点を解消する新たなデザイン哲学として広まりました。